2010年05月05日

チリ大地震のワイン産業への影響

マグニチュード8.8の大地震がチリを襲ってから、約2ヶ月が経ちました。チリのワイン産業にも当然大きな影響を与えた大地震、現状を色々リサーチしてみました。



今回の大地震で一番大きな影響を受けた産地は、Curicó Maule バレーだと言われています。その地域では、50%ものワインを喪失したワイナリーもあります。


Epicenterと書いている場所が今回の震源地です。

更にタイミングが悪かったのは、3月は丁度夏が終わり、収穫の時期を迎えていたということです。収穫を行う人々が移動する交通手段が無くなったことに加え、電気が通らなくなったことも致命的でした。収穫時には、水をやったり、収穫機やタンクでブドウの温度管理を行なったりするなど、電気を使う場面が多々あり、それが使えなかったことは、2010年のビンテージに今後大きなダメージを与えることになります。
チリワイン産業組合によると、業界全体では、20%のストックボトルを損失、これは約1億ボトル分、3億ドルに相当します。そして全体のワイン産業では年間生産量の12%が失われたことになります。
しかしこれは、あくまでも表面的なレポートでしかなく、実際には80%の生産量を失っていながらして15%と報告するというような現状があり、現実は更に厳しい様子です。
地震直後は、大きなステンレスタンクですらひっくり返ってしまう有様で、とても見るに耐えない状況があったそうです。
(Wine Spectator とWashingtonpostより抜粋。)

我々が輸入する、ボデガス・リュルトンが位置するのは地図の震源地の少し上にいちするColchaguaバレーです。リュルトンからのレポートによると、Colchaguaにある家屋はほとんど全壊したそうですが、ワイナリーには致命的な被害はなく、予備電気を発電させて3月末に無事収穫を終えました。最初に起きた地震から3週間の間に、マグニチュード3から8.8まで300回にも及ぶ微震が続いたそうです。


国は変わり、イタリアピエモンテコッポ社マッシミリアーノ氏より、チリ大地震を受けてチャリティーワインの販売を開始すると連絡がありました。98年から01年までの4ビンテージのポモロッソを限定200セット、リリース予定だそうです。99年と21年はいずれも3ビッケーリを獲得している偉大なビンテージです。このプロジェクトはスローフード協会と、テッラ・マドレ(世界生産者会議)のコラボレーションで進んでいるらしく、同じワインを造る生産者として非常に意義あるプロジェクトだと思います。売り上げは、地震によって壊滅してしまったチリの漁業組合に寄付されます。現在更なる詳細を問い合わせ中です。

こういう現状を知ると、地震大国日本の立場として何か出来るコトはないかと考えさせられました。


  


Posted by ワインと食材の店 ビアンコロッソ at 15:51Comments(0)