2010年03月24日

イタリア・フランス出張便り⑦

④カンパーニャ地方 つづき

さて、醸造の講師をするぐらいのロベルトさんは、当然ワイン造りへの情熱も非常に大きいことは
言うまでもなく。今回はセラーの中を色々見せていただきましたが、道具へのこだわりも
半端ありません。メーカーと共同開発で、彼が生み出したものの1つがこちらです。
これは、ブドウを収穫するときのバケツを洗うためだけの機械。



そんなものをわざわざ!と思ってはいけません。収穫時に、いかにスピーディーに、タイミングを逃さず
行なうかは、ワインの味を決める大きなポイント。そして、その時こそが、一番神経を使ってブドウと接する必要があります。 
その時彼らが一番気にするのが、余計なブドウの酸化です。
この地域は、なんとイタリアでは一番遅いタイミング、収穫を10月にするほどの気温が低い山岳地ですが、それでもブドウを摘んだとき、わずかにブドウがつぶれたり傷付いたりすることで、早速そこから酸化してしまうのです。
酸化する、ということは、早速そこで発酵が始まってしまうということ。
この余計な発酵は、品質を落としてしまう大きな原因だからです。

そう、それを防ぐ1つがこの機械。ブドウはプラスティックのかごに入れて、すばやくセラーへ運ばれ、
少し温度を覚ましたり、温度を下げてから発酵に入りますが、そのかごに少しでもブドウのお汁が残っていたりすると
上からブドウを入れたとき、酸化が起こってしまいます。それを、スピーディーに早く洗えるということは、
大きなメリットです。

もう1つの彼のプロジェクトはこちら。



これは、ビン詰めをする機械ですが、特別なところはその作業に汚染された空気や菌が入らないように、空調コントロールが付き、作業部分が完全に囲われているのです。それが彼のアイディアで、共同開発したそうです。
他にも同じような機能を使っているワイナリーはあるといいますが、今回色々見学した中ではここだけでした。

あと他に興味深かったのは、彼の最も好きなブドウ、フィアノをステンレスタンクで長く熟成させるワインを
今実験中ということで、フィアノ入りのステンレスを説明してくれたことです。どんな味に仕上がってくるのでしょう。。!

後もう1つ、この地域はフィロキセラの影響はあまりなかったといいます。山岳地帯では、余り大きなダメージになりにくいのだそうです。それでも予防のために、全てもちろんブドウは挿し木されていました。

さて、それではいざテイスティングをしに建物の中へ。。。。



中はすんばらしい内装です!!!!!



本当に圧倒的にステキなインテリアでした。モダンクラシックスタイルです。
BGMに、オペラクラシックがずっと鳴り響いていますが、非常にドラマチックで空間とピッタリと合います。
ロベルトは、アートにも精通していて毎年アーティストの作品を使ったカレンダーを制作しています。
1つお土産にいただきました。クラシック、モダン、色々なテイストのカレンダーのコレクションがありました。

さて、テイスティングタイム。ここでは写真を撮っていませんが、元々輸入しているタウラージ、フィアノ、グレコ
以外に、もう少しカジュアルワインのラインがあるのを初めて知りました。赤はとても飲み口が軽やかで、
普段に飲むのに適していて非常に興味深いものでした。

そして、ワインを持ったままランチタイム!



じゃじゃーん!私たちを歓迎するために、隣の部屋ではランチがセットされていました!



エルミニアの手作り料理が次々と運ばれてきます。
こちら手作りパスタ



こちらは今朝取れたてのブッファラモッツァレラ。



エルミニアは、ロベルトとは異なりリキュール作りに専念しています。
そんな彼女が手掛けたタウラージ入りのチョコレートクリーム。
かなりアルコールが効いていて、酒好きにはたまりません。

はい、ではこの辺で!



  


Posted by ワインと食材の店 ビアンコロッソ at 19:20Comments(2)

2010年03月22日

イタリア・フランス出張便り⑥

④カンパーニャ地方

今更ながら!旅の報告を続けていきたいと思います。
さて、次の目的地はナポリ空港。向かうはカンパーニャ地方ワインのメッカと言えばここ、アヴェリーノです。ここはカンパーニャで有名な、タウラージフィアノが生産されるエリア。
ナポリというと、暑くて海、そしてピザ!っていうイメージですが、車で一時間弱内陸に入ると、全く様子は変わります。アヴェリーノは標高550メートル山岳地帯

ご覧下さい!周りは全て緩やかな小高い山に囲まれています。そして当然、2月の気温はとても寒く。。。

このエリアでもう1つ明記することは、実は1980年に、イタリア中部に起こったマグニチュード6.6の大地震です。このエリアの建物はほとんど崩壊し、畑も大ダメージを受けています。よって、このエリアのブドウも、多くは震災後に植えられたものになります。

今回我々が訪ねたのは、Di Meoというワイナリー。去年の夏より取引を始めています。


ディメオはエルミニア, ジョルジオ、そしてロベルトの3兄弟が全てを取り仕切ります。
彼らも他の多くのワイナリーと同じく、大地震後に新たにこの地を開拓し、1985年よりその後ワイン造りを始めています。



写真の一番右がロベルト、彼がエノロゴ(醸造家)で、大学で醸造の講師も務めています。
数年前までは、ヴィニイタリーの審査員としても活躍していたそうです。
何に驚くかというと。。。彼らこそ、我々がイメージするイタリア人そのもの!!!今回お会いした人は、レストランのオーナーにしろ、カメリエレにしろ、どこの地方よりも、一番陽気で楽しく、エネルギーにあふれ、ずっと冗談を言い続ける素晴らしい人々です。
そんなロベルトが、ワイナリーを隅から隅まで案内してくれます。



まずは畑へ。ワイナリーがある場所は、正にフィアノのエリアの中心部。ワイナリーの周りで栽培されている、
写真のブドウは全てフィアノ品種で、ロベルトが最も興味と愛情を注ぐ品種です。畑へいくと、丁度剪定の真っ最中でした。


選定前、

そして剪定後!沢山の枝の中から、これと思うものを実と葉用に2本残します。どの枝を選ぶか、
それが非常に重要なポイントです。

アヴェリーノのもう1つの特産物は、栗。フランスのマロングラッセにも、イタリアの栗は好んで使われるそう。
ディメオも元々栗の生産を行なっており、今でも続けています。そんな栗にちなんで、非常に面白かったのが
この大樽。この樽、栗の木で出来ています。なんと、昔はこれでワインを熟成させていたそうです。



後でテイスティングしたワインにも、非常に興味深い結果が。ステンレスのみで熟成させたフィアノに、
確実に樽のような香りが確認できるのです。これも、元々栗を生産している土からの要素が影響していると
いうことでした。確かに、栗の香りかも。!



さて、次に説明してくれたのが、この素晴らしい建築物です。12世紀ごろのお屋敷を改装して使っているということです。

ディメオのウェブサイトhttp://www.dimeo.it
  


Posted by ワインと食材の店 ビアンコロッソ at 18:46Comments(0)イタリア・スペインの旅