2010年04月23日

イタリア・フランス出張便り⑧

⑤フランチャコルタ

随分時間を掛けてしまったイタリア旅のレポートも、ひとまずこれで最終回!
最後にたどり着いたのは、ミラノから電車でおよそ1時間ほどで到着するイタリアの
高級スパークリングの産地フランチャコルタです。

フランチャコルタのエリアは、イセオ湖という湖の南方に位置し湖から運ばれる冷たい空気が
ブドウ作りに非常に好条件を生み出します。
フランチャコルタでは、元々赤ワインの生産が盛んに行なわれていました。
しかし、醸造大学が熱心に研究を重ね、今からおよそ40年前にこの土地のスパークリングワイン産地としての大いなるポテンシャルを発見したのです。



今回訪れたのは、ビアンコ・ロッソでおなじみのベルシ・セルリーニ社です。ご覧の通り、このワイナリーは中でも最も
湖に近い、真横に位置し、最も環境的に恵まれています。

今ではフランチャコルタには小さいワイナリーが60ほど集まっており、ほとんどがスパークリングワインを
生産しています。

イタリアでは、良くプロセッコフランチャコルタの泡のことを、「スプマンテ」(スパークリングワインのイタリア語)と呼ばず、そのまま「プロセッコ ペルファヴォーレ!(プロセッコ頂戴!)」というように、お酒の名称として使っています。この2つの産地でできるスパークリングは、イタリア全土で飲まれる数少ないポピュラーなワインとして、広く親しまれています。
聞くところによると、フランチャコルタもほとんどが国内で消費され、今までは意欲的に国外へ輸出するというような動きが
少なかったそうですが、徐々に時代の流れと共に、日本を始め海外にも紹介されつつあります。

さて、それでは早速ベルシ・セルリーニ社を訪れてみましょう!



ステキな笑顔の彼女が、現在のベルシ・ベルリー二を造りだす代表、マンダレーナ・ベルシ・セルリーニさんです。
そう、ベルシセルリーニは、女性が生み出すスパークリングワインなのです。彼女はイタリアの
女性ワインメーカーが集まる協会、"Le Donne del Vino"の会長も務めています。
そしてナント!驚いたことに、働いていたスタッフはほとんどが女性でした!!



この会社の創立は1886年。ワイナリーから見渡せる建物の周辺に、35ヘクタール
畑を全て自社で所有しています。建物は、1100年代の古い修道院を改装し、コンテンポラリー建築に仕上がっています。



ベルシセルリーニでは、この素晴らしい建物を使ってイベント会場としてもオープンにしています。



こちらは1100年代から残る、フレスコ画農業の神様が描かれています。



こちらはスパークリングの栓をイメージしてデザインされた、建物のコーナーの一部。



ご覧下さい!この見事に整備された畑を!これは、樹齢45年のカリカトーレという品種です。
この場所に来て見ると良くわかりますが、小高い丘の上には畑を見張らせるポイントがあり、
そこから畑を管理しているのだそうです。樹齢45年を持つのは、なかなかないですよね。

このエリアは、景観を守るために建造物に対し、沢山の法律があります。さて質問。
それではこの醸造エリアは一体どこにあるのでしょう?!



そう、ナント地下30メートルに醸造エリアを掘って造っているのです!!
むちゃくちゃな設備投資ですね。地下の湿度を生かすために、壁はあえて土が見える状態にしてあります。



そして、セラーも同じく地下に掘ってありました。ここで、最低でも3年ほど熟成されるのです。
気が遠くなるような製造過程ですね。

フランチャコルタも当然、シャンパーニュ方式と同じく瓶内二次発酵の手法をとり、ルミアージュ
(澱をためていくために順にビンを回転させていくこと)は全て手作業で行なわれます。
これが澱がビンの口に溜まった状態です。



ここまで溜まると、一気に口の部分を冷凍させ、ポン!と栓と一緒に澱を飛ばしてしまいます。



それでは試飲に入ります!



ブリュットから順番に、全部で7種類のフランチャコルタを試飲しました。
驚くのは、すべてスパークリングであるのに一つ一つが本当に違うコンセプトの元に、
違うスタイルで異なる味に造られているということです。
まず始めのブリュット



こちらは40年前から造られる、一番クラシックなスタイルです。
エネルギーが存分に感じられ、非常にさっぱりと勢いがあり、ドライたタイプに造られています。3年間瓶内熟成
 


こちらはキュベ4.4種類の異なった畑でできたシャルドネを使用しています。
どれも、ワイナリーの中で最も古い木であり、その年の最良のものを使っています。
いずれもフレンチバリックで熟成。しかし、繊細なブドウを使用するため敢えて2年目のものを使います。
キュベ4の香りは非常に複雑で果実の存分に熟した熟成感に加え、バニラのような香りもします。
そして口に含むと、口いっぱいに熟成感が広がり、トースト感も感じ取れます。



サテン。サテンは日本語でも使う、「サテンの生地」のサテンです。ベルシ・セルリーニのみならず、
フランチャコルタではよくサテンという名を銘々しますが、いずれもしっとりと細やかでデリケートなタイプのものに
この名前が使われます。



こちらはロゼ。ロゼは、熟成が進むにしたがって、濃い色合いが淡く変化していくそうです。
その様子を、ラベルのピンクのグラデーションに反映しています。

そのほかにも、エキストラ・ブリュット2002年のミレジメ、デミセックを試飲しました。
気付いたかもしれませんが、ラベルが非常にカラフルに彩られています。
それぞれのワインのイメージを、色で表現する。とても女性らしいアイデアですね。

スパークリングというと、一般的には早いうちに消費されることを進められます。
しかし、ベルシ・セルリーニのものはいずれも、20年、30年と時を経た後もビンテージワインとして
楽しめる、貴重なワインなのです。

約10日間の旅のレポートもいよいよ締めくくりです。

ワインは、存在しているアルコールの中で最も幅広く普及したアルコールです。その理由は、造りやすさ。
誰でも簡単に作れてしまうのがワインです。

その中で、実際にワインを造る現場を見てまず思うことは、シンプルなワイン造りでありながら、
これほどまでに地域によってワイン造りの文化が異なっているということです。
今回は北から南まで短い間で一気に現場を周りましたが、気候や土壌、自然的環境の違いだけではなく、
ワイン造りそのものの地域ごとの歴史と文化的な違いは、ワインのスタイルに大きく反映します。正に、があってこそです
ある場所ではローマ時代から、ある場所は、近年から、またある場所はフランスの影響を大きく受けながら。
そして当然郷土料理とも密接に関わりながら。

ある醸造家が言っていましたが、ワイン造りの醍醐味の1つは、ワインの廻りには常に笑顔があり、
食事の中で、5分や10分ほど、ワインについてコメントをしあうタイミングがある。

作り手の想いが沢山こもったワインを日本に紹介する立場の人間としては、ほんの少しでもそんな
彼らを代表し、ワインの後ろにある背景を伝えていくべきであるとひしひしと感じます。
正に、異文化交流ですね。頑張って勉強を続けたいと思います!

それではまた次に戻れる日まで! Ci vediamo a presto Italia!   


Posted by ワインと食材の店 ビアンコロッソ at 17:26Comments(0)イタリア・スペインの旅

2010年04月23日

明日、和歌山近鉄で試飲販売にスペインからゲストが!

昨日に引き続き、直前告知!

ただ今和歌山近鉄の地下お酒売り場にて、ビアンコ・ロッソの試飲販売を行なっています。
明日4月24日(土)は朝10:00から18:00ごろまで、更にスペインからゲストがきます!
私たちの仲間でもある、パブロ・アロマール氏です。



ラ・マンチャ州のワイナリー、アルヒベスと発泡ワインのワイナリー、プチュモルトを代表して
来られます!スペインの現地のお話など聞けるチャンスなので、
ぜひ皆様お越し下さい!サイン入りワインも販売いたします!

日時:4月24日(土)
場所:和歌山近鉄(JR和歌山駅横)地下お酒売り場


  


Posted by ワインと食材の店 ビアンコロッソ at 15:33Comments(0)イベント